藪の眼には涙もでない

藪医者ヤブーのブログ 健康に関すること。独り言。 患者さんの話はフィクションです。

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【連載】日本よ、こんな中国とつきあえるか(32) 台湾人医師の直言


【連載】日本よ、こんな中国とつきあえるか(32)
    台湾人医師の直言

(転送転載自由)

第5章 台湾の独立は日本の国益につながる  

   国民党政権の誕生は日本の悪夢の始まり
     
4、台湾の将来は台湾人が決める

●台湾の主権はどこにあるのか?

 この「台湾の将来は台湾人が決定する」というテーマは、二つのことを反映している。一つは台湾人の苦悩の反映であり、もう一つは台湾の矛盾に満ちた現状を反映している。

 もしも「日本の将来は日本人が決定する」とか「アメリカの将来はアメリカ人が決定する」ということをテーマにしたら、それは滑稽としか言いようがない。「日本の将来は日本人が決定する」などと題した論文は、日本人なら誰も書くまい。なぜなら、日本人にとってそれはごく当たり前のことだからだ。

 しかし、台湾のあり方は、昔も今も、台湾人が決定しているわけではない。

 台湾は一六二四年からオランダに統治されることで、国際舞台に登場した。それから現在までの三百数十年間、台湾人が台湾の将来を決定したことは一度もなかった。オランダの植民地のあとは清国と戦って台湾に逃れてきた鄭成功によって統治され、その後は清国統治の時代がつづく。しかし、日清戦争の結果、台湾は清国から日本に割譲され、一八九五年からは日本に統治されていた。これが台湾の戦前までの歴史であり、台湾人が主体となって国の将来を決める状況は一度も訪れなかった。

 では、戦後はどうかというと、終戦後の台湾は中国の蒋介石によって占領され、一九四九年には国共内戦に敗れた蒋介石政権が台湾に逃げ込んでそのまま居座ってしまい、今もその中華民国政権が台湾に存在したままなのである。つまり、法的には蒋介石政権による占領状態がいまだにつづいているというのが現状なのである。

 戦前まで台湾を統治した日本は、一九五一年に締結したサンフランシスコ平和条約によって台湾と澎湖島に対する主権を放棄した。しかし、日本が台湾の主権を放棄したあとは、台湾の将来をどうするかについてはいっさい決まっていない。今の台湾の主権がどこにあるのか、誰にあるのか、いまだに国際的なコンセンサスはできていない。このように、台湾の戦後は矛盾に満ちた状態に置かれている。



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****** ▼ 追記記事 ▼ ******

●現行の中華民国憲法は台湾とまったく関係がない

 このような状況を作り出したのは、蒋介石の野心と、国際社会の偽善的あるいは虚偽的態度である。

 一九七一年までの国際社会は、台湾が全中国を代表する合法政権であるという神話を承認していた。日本もアメリカも例外ではない。中華民国と称する台湾の蒋介石政権が国連安保理の常任委員会の一員だったからである。

 しかし、一九七一年以降は、正真正銘の中国が国連安保理の一員となる。それは道理に適うことではあった。しかし、中国の「台湾は中国の一部である」という主張に対しては、アメリカも日本も承認するまでは至らなかったものの、日本は中国の立場を「理解し、尊重する」と表現し、アメリカは「アクノリッジ」(acknowledge)と表現した。

 つまり、このちっぽけな台湾が全中国を代表するという神話から、台湾は中国の一部であるという神話に乗り換えたのである。いずれも台湾の現状を反映しているとは言いがたかった。

 しかし、アメリカも日本もこの神話を台湾に押しつけ、神話を「現状」と称して、台湾が動こうとしただけで「現状を変えるな」と威圧してきた。これは、台湾人に「ウソのままでいなさい」「真実を求めるな」と言っているに等しい。

 では、この「現状」とはなにか?

 台湾には二三〇〇万人の人間が住んでいる。外貨準備高は世界第三位、その経済力は世界で一六、七番目だ。独自の国防力を持ち、独自の政府もある。もちろん、今の中国政府が台湾を統治したことは一秒たりともない。

 しかし、この「現状」が果たして正常な状態なのかと言えば、決してそうではない。実は中華民国政権の名前そのものが矛盾している。

 先にも述べたように、中華民国の英語名は「リパブリック・オブ・チャイナ」(Republic of China)である。もっとわかりやすく言えば「シナ共和国」ということになる。台湾にありながら、そういう国名を名乗っていること自体、台湾自身がいまだに台湾は全中国を代表するという神話から抜け切れていない証拠であり、矛盾を抱え込む要因の一つとなっている。

 しかも、今の台湾で施行されている憲法は、一九三六年五月五日に中国で草案をつくり、一九四七年に施行されたもので、台湾は、草案時には日本の統治下にあり、施行時は蒋介石政権に占領されていたものの、戦後処理がまだすんでいない当時は法的にはまだ日本の主権下にあった。

 つまり、草案時も施行時も台湾にはまったく関係のない憲法だった。それゆえ、現在の全中国領土と現在のモンゴル共和国などは領土とされたものの、台湾はこの中華民国憲法に定める領土に入っていなかった。そのような憲法を台湾では使っているのである。まさに裸の王様とはこのことだ。


●台湾の領土を台湾に限定する憲法を自ら制定する

 では、この大いなる矛盾を孕んだ中華民国憲法と台湾人は関係がないのかと言えば、そうではない。李登輝政権は神話から抜け出そうとして、一九九一年から六回も憲法を改正して、できるだけ台湾の現状に近づけるべく努めた。

 一九九一年改正の重要な点は、中華民国の統治権の範囲を、現在の台湾、澎湖、金門、馬祖に限定したことだが、領土主権までは修正できなかった。いまだに全中国領土と現在のモンゴル共和国などが中華民国の領土とされているのはこのためである。

 このように李登輝政権下では六回も憲法の改正を試みたものの、その矛盾を根底から払拭することはできなかった。これが台湾の「現状」であり、台湾人が苦悩する所以である。

 では、台湾人は「神話」や「現状」から抜け出すことを諦めてしまったのかと言えば、そうではない。陳水扁総統は二〇〇三年九月、新憲法の制定を表明した。しかし、この発言に対して、神話を作り出した当の中国が猛烈に反発し、アメリカも日本も、憲法改正は現状を変更することになるとして、「現状維持」を打ち出す。その年の一二月、ブッシュ大統領が陳水扁の憲法改正と国民投票について強く批判し、ついで日本政府が台湾の総統府に文書を呈して圧力をかけてきたことは先に触れた通りである。

 民主と自由を高らかに掲げているアメリカと日本は、中国の圧力に屈し、台湾に「現状維持」を求めることで、台湾がおこなおうとしている民主的手段を牽制、否、封じ込めようとしたのである。これこそまさに偽善的行為と言わざるを得ない。

 いったい「現状」というものは維持できるものなのか? いったい誰が「現状」を定義できるのか?

『本当に「中国は一つ」なのか』の著者であるアメリカの政治学者ジョン・J・タシクJr氏が二〇〇五年一一月三〇日に東京で講演したとき、私は「現状」ということについて質問した。それに対して彼は「『現状』という定義をアメリカ政府は持っていない」と答えた。

 現状を変えてはいけないという場合、なにをもって現状と言えるのか? すべての国で変化しない現状というのはあるのか? 現状は変化するのである。定義もできないのである。

 それにもかかわらず、今のアメリカと日本は、台湾にのみ「現状維持」を求めてくる。これは、台湾は真実を追究するな、民主主義を追求するな、自由を追求するなと言っているようなものだ。

 このような理不尽な現状に束縛されたままの台湾なら、いずれ中国に呑み込まれる。これが現状維持の結果だ。それによって、日本もアメリカも自らの首を絞めることになるのである。いったいこのような現状は維持する価値があるのか、はなはだ疑問である。

 日本は平和と人権を高々と掲げていながら、かつて自分が統治していた台湾を平和と人権の観点から見ているとは言いがたい。国連中心主義をとっていながら、日本は国連憲章の第一条に定めている人民の自決権をまったく無視している。

 なぜ日本は、台湾の住民である台湾人の自決権を認めて「台湾の将来は台湾人が決めるべきだ」と言えないのだろうか? 日本がそれを言わないことによって、台湾が受けている理不尽な現状にさらに圧力をかけてしまうことに気づいているのだろうか? 気づいていながら言わないのであれば、これは軽蔑されてしかるべき偽善者の行為である。日本はいつからこのような情けない偽善的な国に成り下がったのか、私にはわからない。

●台湾の将来は台湾人が決定する。

 台湾の将来とは、真実の台湾に戻ることであって、台湾人が踏み出さなければならない第一歩は、台湾の領土を台湾に限定する憲法を制定することなのである。その決定権は日本にもアメリカにも、そして中国にもない。台湾人にのみある。

(次の連載12月1日)



『台湾の声』  http://www.emaga.com/info/3407.html

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