2007年07月15日 15:02

1947年に台湾で起こった228事件は、多くの台湾人を巻き添えにした決して忘れることの出来ない、血で染められた歴史的事件である。その真相は現在に至っても全て明らかにされたわけではなく、ごく最近までは台湾現代史の空白の1ページとして残されたままであった。台湾人の人々にとって、最近までこの事件はある種タブー的なものだったかもしれない。
この事件の背景は、日本が1945年8月6日と9日の広島・長崎で受けた、米国の2回の都市と民間人を対象とした核実験が終わった後からはじまる。この世界戦争史上最も悲惨な悲劇の後、日本軍は米国を筆頭とする連合軍に対して無条件降伏をした。
このことにより戦時中敗戦の道を一途に辿って、後方の重慶に逃れていた中国国民党政府は、たなぼた式に、戦敗者から一変して戦勝者に成り代わる。
日本の降伏は連合国に対してであり、中華民国に対してではなかった。また、1951年に署名されたサンフランシスコ講和条約においても、台湾の地位は未定となっている。
しかし故蒋介石は強引に台湾を接収し、1945年の10月25日、公会堂に於いて、中華民国の陳儀将軍主催の下で、日本軍の投降式典を行った。その時、日本の敗戦直後は共に涙した台湾人も、「台湾光復」(台湾が祖国に光栄ある復興をすること)を信じて疑わなかった。
50年にわたる日台併合によって生じた台湾人の民度の上昇は、中国大陸のそれとの文化的軋轢を生む。(これは日本の統治と日本語教育の賜物だけでなく、いわゆる「南国気質」と呼ばれるもともとの台湾人と原住民の性格的な要素も関係したかもしれない。)
中国国民党政府は、台湾を統治するために「台湾省行政長官公署」という機構を設立し、あたかも植民地体制の延長を図るかのような態度をとる。これに対して、期待と理想に燃え立っていた多くの台湾知識人たちは、大きく失望し台湾行政長官兼台湾警備総司令の「陳儀」を「新総督」と呼んだ。
やがて民度の差と文化的軋轢による悲劇は、3つの過程を経た。
1.官民の対立、2.軍隊の鎮圧、3.中国国民党の一般人の摘発と弾圧の3段階である。
228事件の導火線は、前日の27日のヤミタバコの取締りによる「市民殺傷事件」である。翌28日の朝、台湾人の群集は専売局に赴き、暴動を起こす。午後には行政長官公署前の広場でデモ嘆願を行ったが、公署のバルコニーにいた憲兵が、機関銃で群集を掃射し、数十人の死傷者を出す。これにより台北全市に騒動が広がる。
警備総司令部は戒厳令を公布した。青年民衆は放送局に入り、全島に向って事件発生のいきさつを報道し、各地の民衆が一斉に立ち上がって共鳴するように呼びかけた。
国民党はすでに抑えきれなくなっていた民間人の不満の深刻さを理解できずに、曖昧なままで政府改革を引き伸ばし支援部隊による武力的解決を図った。
やがて3月8日に、中国大陸から支援部隊が台湾に到着すると、北から南まで都市でも田舎でもいたるところで軍隊による一般人の鎮圧が始まった。

こうして中国石国民党による摘発と弾圧は、どんどんエスカレートしていった。数多くのエリート知識人も摘発や密告により強制連行され、どこで、いつ、誰の手によってどうやって殺されかも明らかにされぬまま、現在でも行方不明とされているひともいるという。
1949年5月、国共内戦の敗戦が決定的となった故蒋介石は、台湾全域に戒厳令を発布し、反政府勢力を一掃するための弾圧強化と粛清による白色テロを実行した。
それは1987年の今日7月15日まで続いた。
「台湾は、国全体が大きな監獄島だった!!」
そんな時代が38年間続いたのだ。
この間、台湾人の人たちは、政治に口を突っ込む勇気を奪いとられた。口が開けない、堂々と意見を言えない、いつなん時会話を聞かれているかわからない。そんな国民党のワンマン独裁政治が徹底してなされた。
幸い李登輝氏の登場により民主化は進められ、現在のところ健全な民主主義が育ってきている。
陳水扁総統は本日を「戒厳令解除を記念する日」と定め、弾圧の歴史の展示会や民主化要求デモの記念切手の発行、戒厳令下で禁止されていた歌のコンサートなどの記念行事が全島で繰り広げられようだ。
先日来日し講演した民進党の葉菊蘭氏は、「過去は許すことが出来ます。しかし事実は事実として受け止めなくてはなりません。」と語っていた。そして恩讐の彼方に、台湾の全エスニックが一つの台湾人になることを呼びかける。
戒厳令が解除された後のこの20年で、国民党の独裁政治から受けた恐怖が薄れ、台湾人としての意識がまとまり、さらに成長した民主主義国家となれるかどうかは、来年の3月22日の台湾総統選挙で試される。
今日の日を記念し、兄弟の国に幸あれと祈る。
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