開業医でニセ精神科医もやっているヤブーのところにはうつ病の患者さんもみえる。本日の診療の最後は、会社のシステムが変わってから生理現象に行く間もないくらいに忙しくなり、疲れきってボロボロになった患者さんであった。
 早朝覚醒があり、食事は仕方なく食べ味も感じず、体重は1ヶ月で5キロも減り、自分の楽しみもやる気が起きない典型的な鬱病だ。自分の能力に自信が無くなり、周囲に迷惑をかけている気がすると言っていた。
 会社の産業医に相談したところ、医者に掛かった方が良いと言われた来院したのだ。同級生の本当の精神科医が昔言っていたが、近年自責の念の無い鬱病の患者さんが増えているそうだ。しかし彼は、脳が疲れきっているのにまだ自分の力が足りなくて皆に迷惑をかけていると自分を責めていた。
 幸いなところ希死念慮すなわち死にたいと言う気持ちはさほどないもの、動悸やパニック様症状も出ており直ぐに休職をすべき状況と判断してその旨を告げた。だがそこからが大変で、鬱病特有のぐるぐる思考で、休むと皆に迷惑が掛かるとか、上司が対処してくれると言っていたのに申し訳が無いとか、休まないための理由をぐだぐだと述べられる。あまつさえ療養休暇を取ると、頭が変な病気だと皆に思われるとか、会社に行かないと近所の人から変に思われるのではないかときりが無い。
 それらの理屈を一つ一つつぶし、やっと休みを取ることを納得させるのに40分くらい掛かってしまった。動物や子供は疲れたら動けるようになるまでじっと休んでいるものだが、大人は余分な計らいをしすぎて治りを悪くする。
 しかし疲れている人に休むことを了承させるのにこんなに疲れたのは久しぶりであった。 

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【2005/12/09 22:07】 | 心療内科・精神科 トラックバック(0) |
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 人生を生き抜くために必要なものの一つは、立派だと思える友を持つことである。はぐれ医者で一匹犬的生活を送っているヤブーにも幸いなことに少ないながら何人かの「友」らしき者がいる。
 りんごを送ってくれる友もあれば、毎年地元仙沼産の新鮮な魚介類を届けてくれる友もいる。
 診察とその後の整理で8時近くまでクリニックに居た私に、次女から電話が入った。「宮城県のK先生からお刺身が届いているよ。早く帰ってこないと無くなるよ」とのこと。
 そこで急いで帰ったのに、なんと生マグロの刺身はもうあらかた無くなっていた。それくらい彼からの魚介類は旨いのである。私の口には3切れしか入らなかった。
 それでも他にホタテやらカレイ、イクラが入っていた。早速焼いてもらいそれを肴にビールを飲む。その瞬間一日の疲れも血圧とともに上昇気味のコレステロールのことも忘れ去る。「人は朗々死ぬもよし」という気分になる。
 彼とも6年間苦労をともにした、と言うよりは苦労一方的にをかけたかな。人生に必要なことの3割は彼から学んだ。その一番は講義をサボることだった。
 それはともかく、人生には友のようなものが必要なのは間違いない。
 たとえ毎年りんごやホタテを送ってくれる必要はない。ともに笑いともに泣いた思い出さえあればそれで良いのだ。
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【2005/12/09 21:13】 | 雑感 トラックバック(0) |
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 世の中にはいろいろな噂話があり、健康に良くて「医者要らず」というものがいろいろある。
 「アロエ」なんかもよくそれにあげられる。昔大学で生化学の研究をしていた時に、隣席に座っていた某東大医学部卒業の先生と冗談を言い合っていたが、「アロエが喋って診察をしてくれれば、医者は廃業になる」なんて笑っていた。
 西洋にも「一日りんご一個で医者要らず」と言うことわざがある。さてヤブーの今日の朝食は昨日とほぼ同じで、山芋かけご飯と納豆とりんご一個である。このりんごは昨日も食べたが、ただのりんごとは少々わけが違う。大学で6年間苦楽をともにした岩手の同級生が毎年送ってくれる「サンふじ」である。絶望の中に生きているヤブーにとってこの「サン」という響きは一本の灯明のようにも感じられる。
 冗談はさておき、このりんごは毎年の楽しみである。昨日の審査会と、午後7時までかかった高校生の実存的無駄話でまた上昇したヤブーの血圧をきっと2mmHgくらいは下げてくれるだろう。さすれば、ヤブーのような医者は要らなくなるに違いない。

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【2005/12/09 08:52】 | 医食同源 トラックバック(0) |